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秋吉台の夏2007

2007年8月17日(金)~8月22日(水)

未聴感への旅 -イマジネーションの拡大を目指す試み-

秋吉台の夏2007 画像

* * * 終了しました * * *

日程

2007年8月17日(金)~8月22日(水)

場所

秋吉台国際芸術村

講師

作曲:湯浅譲二、松平頼暁、若林千春   クラリネット:山根孝司    チューバ:橋本晋哉 
ヴィオラ:佐藤佳子   ヴァイオリン:西野優子  チェロ:宮坂拡志  ピアノ:中山敬子、藤田朗子、石田美智恵
通訳・フルートアシスタント:村上景子


#概要

2007年は、「未聴感への旅―イマジネーションの拡大を目指す試み―」をテーマとして、レクチャー・ワークショップ・コンサートがプログラミングされています。レクチャーでは湯浅譲二・松平頼暁両氏が自らの軌跡を回顧し、新しい音楽創造に携わろうとする若者へ向けて、未来への更なるイマジネーションの拡大を投げかけます。また、世界一線級で活躍するレギュラー講師陣も、「未聴感との出会い」をコンセプトに、お話あり、演奏ありの自由な発想で「ワークショップ」を企図し、豊かな創造の果実を伝えてくれます。

マスタークラスは、作曲・フルート・クラリネット・金管の4コース。フルートのマリオ・カローリは世界の現代音楽シーンをリードするフルーティストでストラスブール音楽院教授。クラリネットの山根孝司はN響奏者、橋本晋哉は一昨年パリから帰国し、驚異的超絶技巧と意欲的な活動で注目される若手チューバ奏者。ベルギーで研鑽を積み、関東・関西で幅広く活動を続けるヴィオラの佐藤佳子による特別レッスンクラスも開かれます。

またピアニストも充実。アーヘン音楽大学講師の中山敬子、アンサンブルピアニストとして近年特に評価の高まっている藤田朗子、抜群んお切れ味と躍動感で共演者と寄り添う石田美智恵の3名がコンサート・マスタークラスでソリストを優に支えます。

以上のレギュラー講師陣に加え、今年は長年英国で研鑽を積み、フィルハーモニア管弦楽団との共演等を通して国際的評価を得ているヴァイオリニスト西野優子と、情熱と技術にあふれるN響の若手チェリスト宮坂拡志(全日程のみ)も本セミナーに初登場。更に充実した時間となることでしょう。

深い自然に囲まれた「秋吉台国際芸術村」でイマジネーションを拡げ、豊かな芸術創造の時間を共に過ごしませんか?

主催

秋吉台現代音楽研究会

共催

秋吉台国際芸術村

助成

財団法人 ローム ミュージック ファンデーション

後援

山口県 山口県教育委員会 秋芳町 秋芳町教育委員会 美東町 美東教育委員会 美祢市 美祢市教育委員会 山口県音楽協会

#スケジュール

8/17(Fri.)
14:00~14:30 オープニングセレモニー
15:00~15:20 レッスン時間割作成オリエンテーション
15:30~17:30 「未聴感を求めた創造の軌跡」  湯浅譲二・松平頼暁
19:30~20:30 ワークショップ(1)「未聴感との出会い」 橋本晋哉プロデュース

8/18(Sat.)
9:20~10:50 「自作を作る」 湯浅譲二の音楽(1)
11:00~12:30 レッスン
14:00~15:30 レッスン
15:30~17:30 ゲネプロ見学
18:45~20:45 オープニングコンサート

8/19(Sun.)
9:20~10:50 「自作を作る」 湯浅譲二の音楽(2)
11:00~12:30 レッスン
14:00~17:30 レッスン
19:30~20:30 ワークショップ(2)「未聴感との出会い」 山根孝司プロデュース

8/20(Mon.)
9:20~11:15 「自作を作る」 松平頼暁の音楽
11:30~12:30 ワークショップ(3)「未聴感との出会い」 マリオ・カローリプロデュース
14:00~17:30 レッスン
19:30~20:30 ワークショップ(4)「未聴感との出会い」 佐藤佳子プロデュース

8/21(Tue.)
9:30~12:00 レッスン
13:30~15:00 ゲネプロ 受講生コンサート
15:00~16:30 ゲネプロ クロージングコンサート
16:45~18:00 受講生コンサート
18:30~21:00 クロージングコンサート
    Part 1 : 「湯浅譲二・松平頼暁二人展」
    Part 2 :「ファイナルコンサート」
21:30~ レセプション

8/22(Wed.)
9:30~11:00 自由セッション
11:20~11:50 ディプロマ授与/閉講式

コンサートプログラム

秋吉台の夏 コンサート *…日本初演 、 **…世界初演

オープニングコンサート 8/18(Sat.)18:45~

D.ロタウ:煙の寺院   M.カローリ(fl)
湯浅譲二:内触覚的宇宙第Ⅳ   宮坂拡志(Vc)+中山敬子(Pf)
J.S.バッハ:無伴奏パルティータ   西野優子(vn)
松平頼暁:And I Love~ビートルズのテーマによる   藤田朗子(pf)
川島素晴:チェロとチェバ    橋本晋哉(Tub),宮坂拡志(Vc)
K.サーリアホ:オワ・クー   山根孝司(Cl),宮坂拡志(vc)
J.T.マルドナド:翼のある歌 第1章 **   M.カローリ(fl)
湯浅譲二:弦楽三重奏のためのプロジェクション   西野優子(vn),佐藤佳子(vla),宮坂拡志(vc)

ファイナルコンサート 8/18(Tue.)18:30~

    Part 1 : 「湯浅譲二・松平頼暁二人展」
湯浅譲二:2台のピアノのためのプロジェクション    石田美智恵+藤田朗子(pf)
松平頼暁:Why not?   山根孝司+橋本晋哉+佐藤佳子+?
松平頼暁:エングレーヴィング   M.カローリ(fl)+石田美智恵(pf)
湯浅譲二:芭蕉による心象風景Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ   西野優子(Vn.)+藤田朗子(pf)

    Part 2 :「ファイナルコンサート」
松平頼暁:ブライトネス   中山敬子+藤田朗子+石田美智恵(Pf)
A.H.スヴェンソン:クサンティーズ *   M.カローリ(fl)+中山敬子(pf)
若林千春:メタ-モルフォージュネス1(改訂版) **   山根孝司(cl)+佐藤佳子(vla)
D.ロタウ:ウロボロス *   M.カローリ+村上景子(fl)
M.プーレ:アスペクト・オブ・ザ・セイム   山根孝司(cl)+橋本晋哉(tuba)
P.ペレッツァーニ:アルエット   M.カローリ(fl)+西野優子(vn)

受講生コンサート 8/18(Tue.)16:45~

<西野優子 ヴァイオリン特別受講クラス>
 J.S.BACH:SONATA NO.1 in G minor,S.1001 ……高田明日香(Vn)
<山根孝司 クラリネットクラス>
 L.BERIO: lied per clarinetto solo ……工藤 澄(cl)
<橋本晋哉 金管楽器クラス>
 湯浅譲二:天気予報所見 バリトンとトランペットのための ……山崎啓史(tp)+橋本晋哉(Baritone)
<マリオ・カローリ フルートクラス>
 若林千春:玉響(たまゆら)…MomentarinessⅣ ……若林かをり(fl)+若林千春(pf)
 武満 徹:巡り―イサム・ノグチの追憶に― ……田口美穂(fl)
 湯浅譲二:舞働Ⅱ アルトフルートのための ……大久保彩子(fl)
 福島和夫:冥 for solo flute ……田口美穂(fl)
 P.BOULEZ:SONATINE for flute and piano ……若林かをり(fl)+若林千春(pf)

記録  当時のレポートより

■現代音楽セミナー「秋吉台の夏2007」オープニングコンサート
opening concert for Akiyoshidai’s summer 2007

2007.8.19 10:16

8月18日(土)18時45分より現代音楽セミナー&フェスティバルのオープニングコンサートが開催されました。
招待作曲家である湯浅譲二さんや松平頼暁さんの作品をはじめ約2時間で計8曲を気鋭の音楽家が演奏しました。
現代音楽というと少々難解なものという印象を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、このコンサートではただ演奏するだけでなく、1曲ずつ演奏前に司会の河添達也さんが分かり易く解説を添えたり、あるいはバッハのパルティータのような古典の名曲を加えたり、松平さんの作曲でビートルズの”And I love her”というポップスの定番曲をモティーフにした作品などをチョイスしたりと、選曲面でも趣向を凝らし、多くの人に馴染みやすいよう工夫がなされていました。
以下、写真を交えて簡単に当日の様子をリポートします。
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↑NHK交響楽団員で弱冠25歳の若手チェロ奏者宮坂拡志さんとドイツ在住でヨーロッパを中心に活躍している中山敬子さんのピアノの競演で、湯浅さん作曲の『内触覚的宇宙第Ⅳ』を披露。
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↑10歳でデビューして以来、アジア、アメリカ、ヨーロッパなど世界中で演奏活動をおこなっているヴァイオリニスト西野優子さんによるヨハン・セバスティアン・バッハの『無伴奏パルティータ』のヴァイオリン独奏の様子。
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↑作曲家の松平頼暁さんと演奏者の藤田朗子さん。
数々の音楽院や演奏会に出演し、ソロだけでなく伴奏に定評のある藤田朗子さんが、松平さん作曲の『And I love~ビートルズのテーマによる』を演奏。ビートルズのなじみのあるメロディーが姿を変えて度々聞こえてきます。
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↑山口県岩国市出身でフランスを中心に活動をされているチューバ奏者の橋本晋哉さんと、チェロの宮坂さんの2人の掛け合いによる『チュロとチェバ』。チューバが身体の一部であるかのように声と楽器が一体化したようなユーモアのある橋本さんと、抑揚が効いていて豊かな変化とキレのある宮坂さんのチェロの競演は、まるでウィットに富んだ会話を聞いているような暖かい気持ちにさせてくれます。
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↑フィンランドの女性作曲家カイヤ・サーリアホの『オワ・クー』が、山口県下関市出身のクラリネット奏者でこの現代音楽セミナーを毎年支えてくれている山根孝司さん(NHK交響楽団)のクラリネットと、本日3度目の登場となる宮坂さんのチェロの競演で奏でられました。クラリネットとチェロの美しい音色を堪能させてくれる楽曲でした。
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↑世界初演となるJ.T.マルドナド『翼のある歌 第1楽章』を「フルート界のパガニーニ」とも評されるイタリア人マリオ・カローリさんが何種類ものフルートを駆使して演奏しました。マリオさんは1998年に「秋吉台国際20世紀音楽セミナー&フェスティバル」に交換留学生として参加されて以来、現代音楽セミナーには欠かせない音楽家です。
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↑最後はこのセミナーのメインゲストの湯浅さん作曲の『弦楽三重奏のためのプロジェクション』を西野さんのヴァイオリン、宮坂さんのチェロに、ベルギーを拠点に活動し2005年より日本に拠点を移した佐藤佳子さんのヴィオラが加えて、この日最大人数での三重奏の演奏となりました。
という感じで最後は大きな拍手の中コンサートは無事終了しました。引き続きセミナー&ワークショップは実施されますし、21日には16:45より受講生コンサートが、そして18:30よりクロージングコンサートが開催されます。ちなみに受講生コンサートは入場無料で、クロージングコンサートは2000円ですが、秋芳・美東・美祢在住の方は特別価格1000円でご鑑賞いただけますので、どしどしご来場ください。
(はっとり)

■リハーサル
rehearsal for the final concert.

2007.8.21 16:42

コンサートに向けてリハーサル中の様子です。
受講生も講師も本番に備えて、音やタイミングやポジション、照明などのチェックに余念がありません。
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↑左:湯浅先生の指導を受ける受講生の方、右:松平頼暁さん作曲の『ブライトネス』をひく中山敬子さん、藤田朗子さん、石田美智恵さん。3台のピアノの共演です。
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↑左:日本初演となるA.H.スヴェンソン作曲の『クサンティーズ』を確認中のマリオ・カローリさんと中山さん、右:クラリネットの山根孝司さんとチューバの橋本晋哉さん
(はっとり)

■クロージングコンサート
Closing Concert

2007.8.22 17:22

リハーサル終了後舞台を整えて、受講生によるセミナーの成果発表としてのコンサートと、講師によるクロージングコンサートが続きます。
受講生コンサートは21日の18時から約1時間で、計8曲を7組9名がソロや講師とのデュオなどで披露しました。
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↑左:湯浅譲二さん作曲の『天気予報所見~バリトンとトランペットのための』を金管楽器マスタークラスの受講生のかたが橋本さんとの共演で披露。受講生はトランペットを、橋本さんはバリトンを担当しています。ちなみにバリトンとは男声のバスとテノールの中間の声域およびその歌手のことをいいます。
右:作曲家の若林千春さんがご自身の作曲された『玉響(たまゆら)…Momentariness Ⅳ』をフルートクラスの受講生とピアノで共演。
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↑フルートクラスの受講生のソロ演奏。こちらは武満徹さんの曲でした。
その他にもヴァイオリンクラスのかたがバッハのソナタや、ブーレーズの曲などを披露しました。受講生のみなさんは集中セッションの成果を存分に発揮され、充実した演奏会となりました。
その後30分程度の休憩を挟んでいよいよクロージングコンサートです。この日は火曜日で平日にもかかわらず多くの方が鑑賞に足を運んでくれました。ここ芸術村では過去7年間現代音楽セミナー『秋吉台の夏』が続いており、さらにその前身の秋吉台国際20世紀音楽セミナーは約10年続いています。これだけ沢山のお客様が来場されるというのは、この地に現代音楽が深く浸透していることを実感させてくれます。
クロージングコンサートは二部構成で、前半は『湯浅譲二+松平頼暁 2人展』ということで湯浅さんと松平さんの曲計4曲で構成され、後半は『ファイナルコンサート』として各演奏者がチョイスした6曲が展開されました。
まずは『湯浅譲二+松平頼暁 2人展』より
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↑左:曲の解説をする松平さん、右:演奏終了後の様子
松平頼暁さん作曲の『Why not?』。松平さんが手にしているのはトランプです。この曲にはいわゆる楽譜はなく、トランプのカードによって曲が進行します。4人の演奏者がそれぞれ1組のトランプを持ち、そこから無作為にカードを選んでいきます。トランプのマークにはそれぞれルールが設定されています。例えばスペードが出たら床を叩くとか、クラブがでたらピアノの音を出すといったようにです。そしてその長さや回数がトランプの数字によって決定されます。つまり、最低限のルールをつくっておいて、あとはそれぞれの演奏者がタイミングをみて演奏を重ねていくという、即興演奏にも近い斬新なものでした。
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↑松平さんの『エングレーヴィング』の演奏の際にマリオ・カローリさんが用いたコントラバス・フルート。とても珍しい楽器です。
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↑左:『芭蕉による心象風景Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ』という曲の解説をする湯浅譲二さん。西洋音楽と日本の音楽の歴史と形式や、その認識の違いについてなど興味深いお話しをいただきました。
右:演奏者の西野優子さん(ヴァイオリン)、藤田朗子さん(ピアノ)と湯浅さん
そして『ファイナルコンサート』
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↑3台のピアノによる松平頼暁さんの『ブライトネス』。とてもアグレッシブでテンポのよい曲で、3人の緩急のある演奏は絶妙でした。
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↑左:今回の講師の一人である若林千春さんの『メタ-モルフォ-ジェネシス1(改訂版)』を演奏するクラリネットの山根孝司さんとヴィオラの佐藤佳子さん。この曲は昨年の『秋吉台の夏』のクロージングコンサートで演奏されたものを改訂したもので、この改訂版は世界初演となりました。長く連なった楽譜に沿って移動しながらお二人は演奏しています。
右:演奏終了後に握手を交わす演奏者2人と若林さん。この曲は画家のエッシャーの作品のように繰り返し生成しながら変化し収束していくさまを音楽で表現することを試みたということを仰っていました。
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↑左:マリオ・カローリさんと中山敬子さん。日本初演となる『クサンティーズ』を演奏。
右:同じくマリオさんと村上景子さんのデュオ。村上さんは第1回の『秋吉台の夏』の参加者で、その後渡仏しストラスブール音楽院でマリオ・カローリさんに師事し、現在はフルート奏者としてフランスを中心に活動中。今回は通訳兼アシスタントとして来日されました。このワークショップからこれからもどんどん新しい人材が輩出されていくことに期待していてください。
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↑左:チューバとバス・クラリネットによる新鮮なデュオ。リハーサルでは軽い調整でおわったお二人ですが、さすが本番はばっちりきめてくれました。
右:本日大活躍のマリオさんは最後も締めてくれました。
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↑演奏終了後は全演奏者が登場して拍手喝采のもとに幕を閉じました。約2時間半に及ぶ長いコンサートで終了したのは夜の10時でしたが、最後まで鑑賞し暖かい拍手を送ってくれたお客様、ほんとうにありがとうございました。
(はっとり)