スウェーデンのマルメを拠点に活動するアンナ・ストランドは、アーティスト活動と同時にマルメ大学とヨーテボリ大学で教鞭を取っている。表現手段として写真という媒体を使いながら、「写真とは何か」を探求し、写真が映すことが可能なものとその限界性を問う。ストランドの作品では、タイトルが重要な役割を持ち、写真にテキストを合わせることで新しい解釈を提示している。近作では、古書店等で見つけた古い写真とテキストを組み合わせた作品のシリーズに取り組んでいる。
2012年が初めての来日であるアンナ・ストランドは、かつてより日本文化に関心が高く、独特の視点でリサーチに取り組んだ。日本の生活や伝統芸能を体験するうちに、日本人の生活の中には、暗黙の「ルール/決まり事」が数多く存在していると感じたと言う。食事や挨拶のマナー、また、生花や茶道などの伝統文化は、様々な人工的な規則に従いながら、よりその動きや形が「自然に」見えることが美しいと認識されることに着目し、彼女が受けた印象を、人や植物、昆虫をモデルに、モノクロ写真の中での視覚化を試みた。
また、山口市内の蚤の市に出かけ、戦前の写真愛好家と思われる人びとのプリントやネガを発見し、見知らぬ誰かが撮った古い写真に、そこに映る人物の視点を想像して書いたテキストを組み合わせた作品も制作し発表した。
サポート 滞在期間:2011-2012