10代の半ばよりロンドンで生活したパクは数年前にソウルに拠点を移した。韓国、ヨーロッパでの個展やグループ展の他、光州や釜山での国際展にも参加し注目を集めている。彼女は、ストリートで発見される些細なオブジェや状況、人々の様子などのリサーチから、それらの背後にある個人的なストーリーを紡ぎ出すような制作をしている。
彼女は初めて訪れる土地で人々といかに関わるかを課題としており、AIAVの滞在では、韓国でも知られている山口出身の詩人「中原中也」をツールに選んだ。湯田温泉街の通りや香山公園の近くで道行く人に声をかける。その時まで、日本人と見かけの違わない彼女を外国人と気づくものはいない。山口駅近くのカフェでは出会った人に、中也の詩で好きなもの、あるいは知っているものを書いてもらうが、そのやりとりは当然、互いに身振り手振りがほとんどだった。これらの異文化間における言語コミュニケーションの難しさと、その過程において相互に伝えたいと願うヒトの本質的なものをビデオと暗号文による繊細なインスタレーションで表した。
サポート 滞在期間:2005-2006