ギレビツは、絵画、写真、インスタレーション、ビデオなど、様々なメディアを使い、現実とアートにおける「再現」の境界の曖昧さを探求する。
西洋美術史において、抽象絵画の誕生はそれまでの伝統的手法を覆す大きな変革の流れの一つであった。ポーランドで西洋絵画を学んだギレビツは、意図的にすべてを描かず、解釈を鑑賞者の想像力に委ねる日本画の手法に大変関心を持った。近年、抽象と具象の線引きを曖昧にする「だまし絵」の制作に取り組んでいる彼は、当初、日本における抽象の定義や理解をリサーチしたいと考えたが、日本・日本画ではそもそも抽象と具象が相反するものではないのでは、と考える様になった。
芸術村での滞在中に、100以上100時間以上のビデオクリップを撮影した。建築が作る影、自然の光の線、画面上を流れる絵の具、どこまでが現実でどこまでが絵画か混乱するような映像は、どこからどこまでをアートと定義し、目の前にあるものはいつアートになるのかを問いかける作品となった。
サポート 滞在期間:2010-2011