宇部にてアトリエ「どま」を構える原井は、2001年にnifca(スオメンリンナ島 / フィンランド)とAIAVにおいて2つのアーティスト・イン・レジデンスを連続して経験。
AIAVではnifca滞在時より続けてきたデイト・ペインティングとしての絵画の制作と、見込みに棘の付いた茶碗を焼き、故意に落下させ、断片を金継によって再構築した茶碗を作った。『つきのうつわ』と題された展覧会では、その茶碗の落下を撮影し、再生と逆再生を繰り返す映像の循環がともに展示された。日々の移ろいを記録するように描かれる小さな空のかけらにも、しばしば昼の月が登場する。月の満ち欠けに似た円環状の連鎖と、普遍的なもの、完全なるもののなかに微妙な差異や歪みを見極めるかのように淡々と制作を繰り返すアーティストの姿勢が、どちらの制作にも見て取れる。
サポート 滞在期間:2001-2002