山口県出身かつ在住の山根は1998年山口県芸術 文化振興奨励賞を受賞、山口県展第50回大賞受賞をはじめ、数々の入賞を重ねる、県民になじみのあるアーティストである。1988年~1992年にかけて、田久保恭治のもとフランスのサン・ヴィゴール・ド・ミュー修道院の修復に携わり、礼拝堂内部の壁画を描いていた。山根は「在山口のアーティストとして諸外国から来村するアーティストたちと積極的にかかわりたい」とレジデンスへの参加を希望した。山根の作風は、日常の何気ない風景を写真に収め、油絵に置き換える手法をとるもの。記憶による感傷性を抑えるかのように淡々と描かれる路地裏や交差点、庭からの眺めなどは日々の生活の影を留めながらも、静謐な空気を湛えている。
AIAV滞在中は、秋芳町をはじめとする県内各所での取材と絵画制作を行い、オープンアトリエを常として訪問者を気さくに迎えていた。