ブックタイトル秋吉台国際芸術村 Akiyoshidai International Art Village レジデンス・サポート・プログラム

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概要

秋吉台国際芸術村 Akiyoshidai International Art Village レジデンス・サポート・プログラム

7 最後にボスニアでの留学経験があり、映像作家としての活躍がめざましい小田香( 日本) の作品に触れる。今回の作品は、ワークショップ形式で8mm フィルムカメラを5人の参加者に渡し、自宅などのプライベートを反映した場所で、各自に“10 年後の自分”へ語りかけている様子を記録してもらうビデオレターのようなものだった。日没後にAIAV の中庭空間の三箇所に投影した大規模な映像インスタレーションは、8mm の映像がもつ懐古的なイメージとは裏腹に、それぞれの人が自分の未来について語っており、まさに今回の「trans」のテーマをダイレクトに生かしたもので、「この土地の未来」におけるこの土地とは、“人そのもの” の事でもあったのだと、改めて気づかせてくれるのだった。 積雪の多かった今季の秋吉台で、「この土地の未来」というテーマに、アーティストたちは過去や既にあるものを手掛かりに、様々な未来を作品として表現していたと思う。果敢に挑み、素晴らしい結果としての作品を見せてくれたアーティストたち、地域の人たち、それを支えたスタッフの皆さんに、心から敬意と感謝の気持ちを送りたいと思う。山口大学教育学部教授/ N3 ART Lab 代表 / 美術家中野良寿