「恐怖」をテーマとした作品を制作しているカニーニは、ホラー映画の一場面を元にしたビデオ作品や、その背景を切り紙で再現する作品を制作している。
J‐ホラー研究を課題に来日した彼は、レンタルビデオ店で借りてきた日本の恐怖映画を、時にスタッフの通訳を交えながら日に何作も視聴し、恐怖感を誘因する心理描写や画面構成などの視覚的分析を行った。彼の意図は、「恐怖」の表現における主体性の欠如とその超越性と、固有の場所に由来する文化的依存性を明らかにし、文化の見方に対する有効な視点を生み出すことにある。このアプローチによって、同時期に滞在していたダニオ・マンやヘギュ・ヤンの協力を得て撮影した、みずから血糊で真赤に染まり転倒し続けるビデオ作品『一晩中』と、切り紙に起こした背景をスライドプロジェクターで映し出すインスタレーションを制作。宿泊室に展示した。
サポート 滞在期間:2002-2003