高木は、社会の中に内在する極私的(きわめて私的)な事象をとりあげ、社会彫刻としての映像やインスタレーションを制作する。多くの場合、都市や人の営みのなかで発見されたものを着想としているが、渡部英司、古郷卓司、島袋道浩ら他のアーティストとの対話や共同作業によって生まれてくるくるものもあった。
AIAVでは、はじめ*candy factoryのメンバーとして来村。ホテル萩本陣が所有する山頂の展望公園に遊具として設置してある恐竜とアンパンマンのFRP(繊維強化プラスチック)彫刻を、その造形的センスの対比を強調した映像作品を制作。また巌流島で行われていた武蔵と小次郎の対決劇をモチーフとした『パフォーマンスの日』、美東町のサファリランドで実際には別々のエリアで飼育されている肉食獣と草食獣の野性をカメラワークによって回復させた(ようにみせた)『サファリ』、山梨県の旧上九一色村に残された「ガリバー王国」の目玉であった巨大FRP彫刻ガリバーの製作者を取材し、その造形性と社会的なコンテクスト(文脈)を追ったドキュメンタリー作品『王国』を制作した。