秋吉台国際芸術村

秋吉台国際芸術村

EVENTイベント情報

大地への介入 – Intervention in the Landセミナー

1998年秋吉台建築アカデミー

秋吉台国際芸術村は、幅広い創作活動の場として、また滞在型芸術活動の拠点として98年8月にオープンします。そこで私たちは、国内で活躍する若手芸術家や芸術家を目指す人々、広く芸術文化の担い手となる人々の育成を目的として短期の滞在型セミナー「秋吉台芸術アカデミー」を創設しました。その第1回目として「大地への介入 - Intervention in the Land」をテーマに秋吉台建築アカデミーを開講します。

プログラムの概要

  1. 全国から約50名の広く建築に関心を持つ人を対象にします。
  2. 秋吉台周辺地域の問題に対する視点を持った、建築物や都市計画などのプランが検討されます。ここでのプランは周辺の地域と積極的な関わりを持ち、地域の生活・環境・文化・経済に積極的に介入していくことを目指すものです。
  3. 本企画は建築の専門家の間の取り組みにとどまらず、広く周辺の日常との関わりを持ち得るような、継続的な活動となることを目指します。
  4. まず地域の現状を把握します。周辺の環境を読み取り(リーディング)、目に見える形のデータを残す(マッピング)活動を行います。この作業を地域の人々の協力を得て行うことで、人と自然の、そして人と人との対話が生まれるきっかけとなることを期待します。
  5. 本企画では参加者の作品発表の場となることも目指します。会期中施設に付属のギャラリー・スペースで参加者の作品が展示されます。また、会期終了後には、参加者の作品を掲載した作品集を制作する予定です。

日時1998年9月15日(火)~9月19日(土)
募集人員応募申し込みの先着順にて50名程度
参加料学生:20,000円(五泊分の宿泊料、夕食費を含む)
一般:30,000円(五泊分の宿泊料、夕食費を含む)
しめ切り1998年8月14日(金)
募集要項募集チラシはこちらから(PDF)
チラシチラシはこちらから(PDF)
  • 主催 秋吉台国際芸術村、(財)山口県文化振興財団
  • 後援 秋芳町
  • 協賛 前田建設、五洋建設中国支店、鹿島建設広島支店、三洋ライフエレクトロニクス中国特機営部、シンコー広島、大光電機、山口プラス、YKKap中国支店、セントラル硝子

キュレーター

野口昌夫

1954年東京に生まれる。1977年東京工業大学建築学科卒業。翌年英国のA.A.スクール大学院歴史理論研究科に文部省給費留学。1980年東京工業大学大学院修士課程修了。1981年から83年までL.Benvenuti設計事務所に勤務する。イタリア政府給費留学生として、1983年から85年までフィレンツェ大学都市地域研究科に学ぶ。1986年東京工業大学大学院博士課程修了。現在、東京芸術大学助教授、工学博士。主な著書に「南イタリア都市紀行:地中海に輝くミクロポリス」、訳書としてモーリー著「ルネサンスの都市」、ファン・デル・レー他著「イタリアのヴィラと庭園」など。

コーディネーター

小川晋一

建築家。近畿大学工学部助教授。小川晋一都市建築設計事務所主宰。1955年山口県主まれ。日本大学芸術学部卒業。ワシントン州立大学建築学科留学。文化庁派遣芸術家在外研修員(ニューヨーク)。ポール・ルドルフ事務所及びアルキテクトニカ所属。主要作品にキュビストの家、Glass Houseなど。第19回ミラノ・トリエンナーレ日本館、UIAバルセロナ’96、Invisible Language展など展覧会多数。第8、9、10、11回SDレビュー、商環境デザイン賞、CSデザイン賞、スコットランド建築デザインセンター国際公開設計競技(イギリス)入賞等受賞多数。

マスター・アーティスト

芦原太郎

建築家。芦原太郎建築事務所所長。1950年東京生まれ。東京芸術大学美術学部建築科卒業。同大学大学院建築学修士課程終了、工学修士。主な建築作品に笠間日勤美術館、宮城県白石市立白石第二小学校、岡山県文化交流施設水身サロンなど。世界建築博覧会第二回現代建築家展、Invisible Language展など展覧会多数。日本建築学会会員。日本建築家協会理事。横浜国立大学反ぴ武蔵野美術大学非常勤講師を経る。’93年日本建築家協会新人賞、第17回建築学会東北建築費作品賞、(社)文教施設協会協会費、第38回建築業協会費(BCS)、日本建築学会作品選奨など授賞多数。

原 尚

建築家。原尚建築設計事務所主宰。1949年川崎に生まれる。東京芸術大学美術学部建築科卒業。主要作品にカ・オ・ス・お・か、土居番、な・ん・じゃ・も・ん・じゃ、円通寺、SSlビル、FCC富士通クロスカルチャーセンター、安着寺庫裏など、また現在進行中の慈眼院総合計画、養周院山悟山会館などがある。展覧会としてNeo Forma展、建築家7人によるCG展、E.J.A.展、Invisible Language展、ETCJA展、日本建築家による椅子展など多数。建設省建築文化景観問題研究会委員、モンゴル建築家協会名誉会員。著書に「寺院空間の演出」(共著)がある。

木村丈夫

建築家。(株)タオアーキテクツ代表。1949年東京生まれ。東京芸術大学美術学部建築科卒業。同大学大学院修了。1980年ライス大学大学院修了(M.Arch.)。主要作品にコサカ社屋、日空ライフプラザ新宿、カッパ・ドキ庵、K2HOUSE、STlCKS(オフィスビル)、LARSBIL(オフィス&集合住宅)など。多摩美術大学、日本女子大学非常勤講師を経て、現在武蔵野美術大学講師。1992年静岡県住まいの文化賞受賞、1995年日本建築士会・懸賞設計競技入賞。主な展覧会としてTOKYO TOWER PROJECT展、Neo Forma展、Invisible Language展など多数。

北山恒

建築家。横浜国立大学助教授。architecture WORKSHOP主宰。1950年香川県主まれ。横浜国立大学建築学科卒業。同大学大学院修士課程修了。主要作品にRyokan浦島、CRANES FACTORY、Lima HOUSE、白石市営鷹集住宅、白石市立白石第二小学校、HOUSE IN HOUSE,F3HOUSEなど。展覧会としてはEmerging Japanese Architecture of the 1990s,Invisible Language展、Emerging Trends in Contemporary Japanese Architecture展等国内外で多数行う。日本建築学会作品選奨、BCS賞、吉岡賞、住宅建築費3回など授賞多数。

野田俊太郎

建築家。人・空間研究所主宰。1951年東京生まれ。東京芸術大学美術学部建築科卒業、主要作品に社会福祉法人紫野の会かりいほ施設、コサカ本社ビル、SURBAYA DELTA PLAZA COMPLEX(インドネシア)、日本生命ライフブラザ新宿、(株)秀元本社オフィスビル、吉川油脂第二工場及び施設郡全体計画等。東京電気大学、名古屋大学非常勤講師を経て、現在横浜国立大学講師。日本建築学会会員。1995年日本建築学会第一回建築選奨、栃木県マロニエ建築賞受賞。主な展覧会として金沢彫刻展、QUATERNARIO90展、Invisible Language展、マロニエ建築賞展など多数。

レポート

「大地への介入-Intervention in the Land」というテーマに合わせ、秋吉台周辺地域に対して何らかの“実用的オブジェクト/Useful Object”の提案を行うことが各受講生に最終目的として設定された。実質的に4日間という短期間で提案をまとめ上げるために、受講生には事前に“ヴァーチュアル・インターヴェンション”が課題として提示された。これは秋吉台周辺地域に関する資料を基に何らかの提案を行うことである。このインターヴェンションはCDケースに収まる形でワークショップ初日に提出され、期間中芸術村ギャラリーで展示された。

ワークショップ初日には受講生が6つのグループに分けられた。それぞれのグループに一人ずつ講師が付き、全体の統括をキュレーターである野口氏が行うという形式がとられた。グループ分けは“ヴァーチュアル・インターヴェンション”による制作物を参考にそれぞれの講師によって選ばれた。グループ分けの後、受講生に対して各マスターの活動を紹介し、その建築に対する思想を伝えるためのスライドレクチャーが行われた。

2日目から4日目にかけては、秋吉台周辺地域のフィールドワーク、その成果を地図上に記録するマッピング、それを全員で共有するシェアリング、が繰り返し行われた。また、それと平行して、提案の途中経過に対するマスターのクリティックも行われた。上記の過程は基本的にグループ内でのものだったが、時折グループの枠を越えてのディスカッション、クリティックの様子も見られた。

最終日には一般に公開する形でプレゼンテーションが行われた。発表の人数が49名と多数に上ったため各自の割り当て時間は1分程度であったが、各自提案を簡潔にまとめることができていたように思う。各自の発表の後には質疑応答の時間が持たれ、来場した地元住民が提案に対して質問を行う場面もみられた。

ワークショップ中受講生たちは非常に集中して提案に取り組んでいた。きわめて短期間で提案を完成させなければならないということもあったが、普段接することのできない講師たちからできる限り多くのことを学び取ろうという意欲の現れであったようにも思う。講師たちも受講生たちの意欲に応え、深更までクリティックを行っていた。また、受講生のほとんどが一度は徹夜をしていた。

当初これほどの短期間で提案をまとめることができるのかという危惧もあったが、受講生と講師双方の真剣な取り組みによってこのセミナーは、想像していた以上の成果を残すことができたように思う。濃密な時間を共有したことで受講生達の間に強い連帯感を生む効果もあったようだ。

掲載記事

1998年9月20日朝日新聞
1998年9月21日山口新聞
1998年12月12日山口新聞

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