EVENTイベント情報

slow / motionワークショップ

秋吉台フィールドワークショップ*06 slow / motion

山口県中央部にある秋吉台周辺エリアにおいて、ありふれた日常のなかで見逃してしまいそうな景色や営みを、地域住民と参加者、アーティストたちがともに発見し、集め、記録し伝える、創作プロセスとしてのワークショップと展覧会です。全国に誇るべき美しい自然と風景をたたえた山口で、秋吉台を中心にフィールドワークによって発見される、一瞬一瞬で姿を変えてゆく現在の姿を露にしてゆきます。

ワークショップ&レクチャー

夏の残り香漂う9月中旬に、カルスト台地や鍾乳洞で著名な観光名所である秋吉台を中心としたエリアで、「あるく、みる、きく」というフィールドワークの基本に立ち返りながら、そこにある日常生活の中では気付かないような小さな情報のかけらを収集し、整理しながら、観光名所としての秋吉台ではなく、「日常の秋吉台」を浮かび上がらせるようなタイプのフィールドワークのワークショップです。

日程2006年9月11日(月)~9月16(土)
会場秋吉台国際芸術村、秋吉台周辺
参加費一般:39,000円、学生:33,000円(6泊分の宿泊費と6日分の朝夕食を含みます)
定員21名(応募者多数の場合、選考を行います)
しめ切り2006年9月7日(木)消印有効
チラシチラシはこちらから(PDF)

特別講師

配川 武彦(ハイカワ タケヒコ / 秋吉台科学博物館館長)

秋吉台科学博物館館長。専門は地学で、40年近く秋吉台科学博物館に勤務し、秋吉台をはじめとする洞窟の調査・研究を続けいている。帰り水のボーリング調査、白蓮洞事故の救助活動、島根県などの広域調査、沖永良部島などの洞窟調査、最下位のコノドント化石の発見、黒褐色石灰岩の追跡、台上の小湧水の確認など活動は多岐にわたる。

レクチャー
40年近く秋吉台科学博物館に勤務し、現在は秋吉台科学博物館の館長を勤める配川先生によるオープニング・レクチャーを開催。豊富な写真資料を用いて、秋吉台がどのようにして形成されてきたのかということをわかりやすく解説。また、ドリーネなどの特徴的な名称や状態の説明、日々の変化、地質学的観点からの秋吉台の状況なども詳述。最後に洞窟内のコウモリの特徴的な鳴き声をながし、締めくくる。

貞方 昇(サダカタ ノボル / 山口大学教授/地理学)

1948年生まれ。1970年、早稲田大学教育学部社会科地理歴史専修卒業。1982年、広島大学大学院文学研究科地理学専攻博士課程後期単位修得退学。地理学のなかでも自然環境の変遷に人間活動がどのように関わってきたかについての研究を行っている。主な著書に『中国地方における鉄穴流しによる地形環境変貌』渓水社『歴史地理調査ハンドブック』【共著】古今書院、『日本の地形6 近畿・中国・四国』【共著】東京大学出版会など。

レクチャー
自然環境の変化と人間活動の関わりについての研究を行っている貞方先生ならではの視点からのレクチャーでは、秋吉台の地図を畑や牧草地などの状態によって色違いに塗り分け、人間活動の痕跡を描出していく。そしてその地図をもとに長者ヶ森近辺を散策し、実際に秋吉台の「作られた自然」を読み解く作業を行う。

毛利 嘉孝(モウリ ヨシタカ / 東京芸術大学助教授 / 社会学)

1963年生まれ。専門は社会学・文化研究。特にメディアや文化と政治の関係を考察している。京都大学経済学部卒。ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジMA(メディア&コミュニケーションズ)、同PhD(社会学)。九州大学大学院助手・助教授を経て現職。2002-2003年ロンドン大学客員研究員。Inter-Asia Cultural Studies (Routledge)編集委員。 主著に『文化=政治:グローバリゼーション時代の空間の叛乱』(2003年、月曜社)など。

レクチャー
社会学やカルチュラル・スタディーズを専門とする毛利先生のレクチャーでは、フィールドワークの定義やそのメソッドについて、いくつかの事例を交えながら解説。九州大学で教鞭をとっていた2002年には、今回ゲスト・アーティストとして参加している宮川敬一さんらとともに北九州で行った新たなタイプのフィールドワーク RE/MAP:再地図化計画 に触れながら、地図を描くという誰でもできる日常的な実践から創造していくことに言及した。

木村 哲也(キムラ テツヤ / 周防大島町立文化センター学芸員)

1971年高知県生まれ。高校卒業と同時に宮本常一『忘れられた日本人』に出会い、以後宮本の足跡をたどる旅を続ける。神奈川大学大学院歴史民俗学資料学研究科博士後期課程終了。博士(歴史民族資料学)。2004年より周防大島文化交流センター学芸員。宮本の金字塔『忘れられた日本人』の舞台十箇所を、二度三度ていねいにたどり直し、宮本が会った人、その縁者に取材し続けた記録をまとめた主著『「忘れられた日本人」の舞台を旅する-宮本常一の奇跡』がある。

レクチャー
木村氏は、宮本常一の『忘れられた日本人』の舞台となった様々な場所をたどりその体験を綴った『「忘れられた日本人」の舞台を旅する-宮本常一の奇跡』という書籍を著しており、その体験を交えながら宮本常一の写真集を見せたり、著書からの引用を織り交ぜながら、人類学的観点からのフィールドワークについて講義。その後、その実践として、雨の中ではあったが、全員で秋芳町を巡った。

展覧会

国内外4組のプロジェクトアーティストと、県内外から集まった学生〜一般までの4名のアソシエイトアーティストたちは、「秋吉台」という日本有数の観光名勝であるフィールドと、フィールドワークという手法についてのレクチャーや演習、そして独自の散策やリサーチといったフィールドワーク活動をおこない、そこから得られた画像や情報、活動の痕跡をもとに、それぞれ表現を導きだしました。
 秋吉台国際芸術村ギャラリーと3階につながる階段室に展示された、作品と作品の原型を通して、アーティストたちの6日間という短い期間で展開された、活動と思考のプロセス、そしてゆっくりとしかし確実に姿を変えてゆく、私たちを取り巻く環境。視点をかえて眺めることで、新しい発見をきっとみつけることができるでしょう。

会期2006年9月17日(日)~10月1日(日)
会場秋吉台国際芸術村 ギャラリー

ゲスト・アーティスト

Haegue Yang(ヘギュ・ヤン / アーティスト / ベルリン&ソウル)

1971年ソウル生まれ。ベルリンとソウルを拠点に活動。1995年にソウル国立大学を卒業後、1999年フランクフルト美術大学にて修士号を取得。釜山ビエンナーレをはじめ国際展への出展多数。日常に溢れているありふれた物事に価値を見いだし、再評価するような作品を制作している。2003年には秋吉台国際芸術村でレジデンス・アーティストとして秋吉台周辺に広がる何でもない風景を切り取り採集し再整理して作品を提示した。3年後の今年再び秋吉台の新たな日常を採集していく。

展示作品:「vehicle(乗り物)」 ドローイング・インスタレーション
芸術村から、別の街へと向かう車やバスに乗っている間、新聞紙面の直線をなぞって描いたドローイングを制作。

宮川 敬一(ミヤガワ ケイイチ / アーティスト / 北九州)

1961年北九州生まれ。アーティストとして活躍するほか展覧会の企画運営もおこなう。 1997年より北九州市にオルタナティブスペース「gallery and cafe SOAP」を発足。2001年にRe- Map Project KITAKYUSHUを毛利嘉孝と共同で企画。また翌年RE/MAP 2002を、2003年にはRE/MAP北天神(福岡県立美術館)などマッピングプロジェクト多数。2006年よりNPO法人AIK(アートインスティテュート北九州)を設立し、地域から芸術を発信していく活動を精力的に行っている。

展示作品:「グランドツアーあきよしだい – GRAND TOUR AKIYOSHIDAI」 ビデオ・インスタレーション
グランドツアーとは、18世紀イギリスの裕福な貴族の子弟が、その学業の終了時に行った大規模な国外旅行。当時文化的な先進国であったフランスとイタリアが主な目的地で、一種の修学旅行といえるものだ。19世紀に入ってからも、最良の教育を受けた若者たちは、グランドツアーに出かけるのが常だった。その後、これは若い女性たちにとっても一種のファッションになり、パトロンとなってくれるオールドミスの叔母様とイタリア旅行をするというのは上流階級の淑女にとって教育のひとつだった。

展示作品:「CLEAR / DIM SPARKLE」 ビデオ・インスタレーション
山口県修学旅行誘致ビデオ「MEMORY」に挿入されていたビデオクリップで、秋吉台で撮影されたもの。演奏しているのは、下関市内の女子高生バンド「DIM SPARKLE」で「CLEAR」というオリジナル曲を演奏しています。

Laura Horelli(ラウラ・ホレリ / アーティスト / ベルリン)

1976年ヘルシンキ生まれ。ドイツ・ベルリン在住。2000年ヘルシンキ美術アカデミー卒業。2002年シュテーデル美術学校を卒業。映像や写真を用いてパブリシティとプライバシーの結節点を探るインスタレーション作品を制作している。2000年に秋吉台国際芸術村にレジデンス・アーティストとして滞在しビデオ作品を残している。nifca(北欧現代芸術協会)での滞在創作活動や、プエルトリコ・ビエンナーレへの参加など活動は世界規模である。今年は光州ビエンナーレに出展後に、山口を再訪する。

展示作品:「無題」 フォト・ドキュメント
秋吉台の北側と南側に位置する、サファリパークと秋吉台科学博物館を訪れ、「何かを見せる」場所ということが共通する二つの場所に着目する。その場所がどこであるか、ということをかろうじて漂わせる大きな画像と、ディテールとしての複数の写真を組み合わせ、個人的なガイドブック風なレイアウトを用いて構成する。

assistant Co.,Ltd.(アシスタント / クリエイティブ・グループ / 東京)

「アーバニズムとツーリズム」「空間とシチュエーション」「通貨とショッピング」の3つのテーマを持つクリエイティヴ・グループ。東京大学建築学科の同級生であった松原慈、有山宙、須之内元洋により領域融合的デザイン活動として2002年に始まり、実験的な手法で、空間・建築デザイン、インタラクティブデザイン、アートの各分野で活動。2005年からは新たにinternational & interdisciplinary design practice – assistant Co.,Ltd.を組織し、国際的に活動の幅を広げる。

展示作品:「無題」 インスタレーション
creative box*を用いて秋吉台周辺の情報密度を高めようと試みるプロジェクトをワークショップ参加アーティスト達と実行。また、無数に収集した画像のなかから秋吉台の風景をビットマップに置き換え、逆に密度を疎に変換することで、模様化をはかり普遍的な風景をデザイン空間へと置き換える。
*creative box: assistant Co.,Ltd.によって開発された、GPS位置情報付きの画像を自動的にマッピング(地図化)、整理し、アーカイブを構築するソフトウェア。

アソシエイト・アーティスト

藤木 律子(フジキ リツコ / 山口)

展示作品:「IT IS ETERNAL MOMENTARILY」 ビデオ・インスタレーション
秋吉台の風景から着想した言語、表現、伝達とコミュニティーの関係についての作品。ドリーネのドローイングを描く姿のビデオと観光促進ビデオから抽出した空撮のドリーネ、そしてこの地域に暮らすお年寄りを訪ねたインタビューの3つの映像によって構成される。

菅 絢子(カン アヤコ / 東京)

展示作品:「landmark」 ドキュメント、プロジェクトプロポーザル
自転車で出かけた散策、行けども行けども辿り着けない目的地。出会った人々に尋ねてみた。でも、なかなか明快な方向指示を手に入れることができなかった。どうやら、歩いたり自転車に乗った旅行者への案内が必要なようだ。そして安心して休憩できる場所も。そこで提案。

林 夏海(ハヤシ ナツミ / 京都)

展示作品:「My Heart Beat」 インスタレーション
秋吉台の壮大な風景には、なぜか心うごかされなかった。ただ、自転車にのって散策にでかけ、発見した石洲瓦や古い瓦では、何か構築できそうな気がしたという。自分自身への戸惑いと挑戦を併せたセフルポートレイトである。

梅木 誠太郎(ウメキ セイタロウ / 佐賀)

展示作品:「SAGA – AKIYOSHI」 21枚の写メール
梅木が秋吉から佐賀へ帰るナイトドライブの途中、目にした風景を宮川に宛て、写メールとして送信した21枚の写真。実はこれらの写真は、宮川が秋吉台で見つけた情景に呼応しており、宮川がその情景を携帯メールで梅木に送信し、それを見た梅木が佐賀への帰路でそのテキストからイメージする風景を再び宮川に写メールで送るという相互プロジェクトである。

  • 主催 (財)山口県文化振興財団秋吉台国際芸術村
  • 後援 山口県、山口県教育委員会、秋芳町、秋芳町教育委員会、美東町、美東町教育委員会、美祢市、美祢市教育委員会
  • 協力 秋吉台科学博物館、周防大島文化交流センター、山口大学、東京芸術大学、秋芳町観光商工課、美東町観光課