秋吉台国際芸術村

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EVENTイベント情報

印=Emblem Projectワークショップ

自分だけのエンブレム(=しるし)をつくろう!

エンブレムとは、トイレや非常口など場所を示すサインや、会社や車のブランドマーク、家紋、海賊船の旗など人やグループを表すマークなどの、様々なしるしです。
今回のあーと・ルームは、身近なことから自分だけのエンブレムを発見し、つくることを通して、楽しみながらデザインを体験するワークショップです。
講師の野老さんは、人や会社のロゴマーク、あるいは建物の壁や床、洋服など、さまざまなものにしるしや模様をデザインしているアーティストです。
野老さんと一緒に、いろんな素材を組み合わせて、自分だけのエンブレムづくりに挑戦しましょう。

エンブレムプロジェクトのロゴ(C)Asao Tokolo

講師プロフィール

トコロ紋、トコロ柄と呼ばれる紋と紋様の制作を中心に美術/建築/デザインの周辺で活動を続けるアーティスト。
阿部仁史アトリエ、みかんぐみ等、建築家との恊働でファサードなども手がける。愛知万博のトヨタグループパビリオン、MoveLiveでキービジュアルデザイン担当。
トコロ柄マグネットが2006年度新日本様式100選【J023】に選定される。
TOKOLO.com主宰。tokolo.com

1969 東京都新宿区生
1992 東京造形大学造形学部卒業 建築専攻
1992-93 Architectural Association School of Architecture 在籍
1994-98 建築家 江頭慎の制作助手、ワークショップ等アシスタント
2003- 武蔵野美術大学空間演出デザイン学科非常勤講師

ワークショップ

日時2008年7月27日(日)10:30~15:30
会場秋吉台国際芸術村ギャラリーほか
料金300円(材料費など)
※自分のエンブレムでつくったおみやげつき
募集人数20名程度 / 先着順
対象小学生以上
※1~3年生は保護者同伴でお願いします
申込方法申込書をダウンロードして必要事項を記入の上郵送またはFAXで送付いただくか、e-mailにて同事項を記入し、info(at)aiav.jpまで送付してください。
申込締切2008年7月21日(月)
チラシチラシはこちらから(PDF)
  • 主催 山口県文化振興財団 秋吉台国際芸術村
  • 後援 山口県 山口県教育委員会 美祢市 美祢市教育委員会

活動レポート / Activity Report

印=Emblem Project@山口県立大学

2008年08月04日 14:43

7月24日から7月28日にかけてアーティストの野老朝雄(トコロアサオ)さんをお招きし、芸術村、山口県立大学、山口大学を巡り”印=Emblem Project”というワークショップを実施しました。野老というのはなかなか読みづらいのですが、トコロと読みます。野老とはユリ目ヤマイモ科の蔓性多年草の一群で、名字はこれに由来するそうです。ハート形の葉が特徴的で、野老さんのロゴの中でもよく登場するハート形マークは野老の葉をモチーフとしています。野老さんはご自分のロゴだけでもかなりのバリエーションをつくられており、そのほか様々な模様をつくりだして、それを建築空間や衣服のパターンなどの、多種多様な対象に実践しています。また、建築におけるサイン計画なども手掛けられています。今回は場所などを示すサインや、人や会社などを象徴するロゴマーク、行為を示す看板や標識のマークなど全てをひっくるめてエンブレムと定義し、それについて考えるワークショップシリーズといいうことで、“エンブレムプロジェクト”と名付けました。
プロジェクト概要や野老さんの経歴については以下のページを参照ください。
http://www.aiav.jp/programs/2008/emblem_project/

まずは7月25日に山口県立大学にお邪魔をして、建築やプロダクトデザインを学んでいる学生さんを対象に14:30より17:30まで3時間のワークショップを行いました。デザインの専門教育を受けている学生対象ということで、「エンブレム」を介して自分自身やその考え方を人に伝えることや、作品作りを通したコミュニケーションを重視した展開を試みました。導入として約30分間自己紹介も兼ねて、野老さんがこれまでの活動や作品の紹介をしたのち、ご自身のエンブレムを見せながら発想法や作り方にも言及し、今回の制作内容を伝えました。参加者に挑戦してもらうお題は2題です。ひとつめは黒いペンのみを用いて自分のロゴをデザインするロゴづくりで、もうひとつはコンパスで描けるラインのみで色紙を切りだして「自分の好きな景色」を貼絵でつくるcirclegraph(サークルグラフ)の作品制作です。


↑スライドを用いて説明する野老さん

まずはロゴづくりに挑戦!時間は約1時間で、とにかく手を動かしてみることが重要です。野老さんと、このプロジェクトにアシスタントとして参加してくれたデザイナーの四方さんが、各テーブルを巡ってみんなにアドヴァイスをし、ロゴづくりのきっかけを与えたりしながらコミュニケーションを図ります。学生さん達も、第一線で活躍しているプロのアーティストと接する機会はなかなかないようで、よい刺激になったようです。また、短い時間で作品をつくることも初体験だったようで、戸惑いながらも集中して制作しておりました。
自分をあらわすロゴというものは、それを見ただけでその人とわかるものがもちろん理想なのですが、自分のつくったものを人にプレゼンテーションすることもすごく重要です。そこでロゴが完成したら、それをみんなの前で自己紹介のように一言で発表してもらいました。野老さんの影響か、名前の文字を用いたロゴをつくる人が多かったですが、なかなか面白いものもいくつかありました。

  
↑左;各テーブルをめぐる野老さん、右;circlegraph制作の様子

次はcirclegraphの制作です。用意された色画用紙を用いて、18センチ角の正方形の台紙をつくり、その上に直径16センチの円を貼り付けます。そしてその16センチの円の中でコンパスで描ける線のみで好きな色紙を切りだして貼っていくことにより、貼絵で「自分だけの風景」をつくります。必須条件は自分のつくるcirclegraphにタイトルをつけることです。コンパスの曲線と色彩だけという限られた条件の中で、タイトルに対してどんな風景が作り出せるかがポイントです。野老さんは導入の解説として、ミニマルでシンプルな構成ですごく美しい風景が描かれている花札を例に挙げておられました。こちらはロゴより制限が多い分、逆にみんなどんどん手が動いていました。手を動かしてできたものをみて、それに対してタイトルを付けるという人もいました。完成後は教室正面のホワイトボードに貼り出して、順番にタイトルと作品について一言のコメントを発表してもらいました。シンプルな分コンセプトなどが明確に表現されていると、とても面白く感じられました。

  
↑左;貼り出されたcirclegraph、右;野老さんの作品、単純な仕掛けで筒の中では驚くような世界が展開しています

ロゴもcirclegraphも、紙とペンなどがあればどこでも誰でも実践できるデザインのベーシックなトレーニングになるので、今後デザイン教育の教材として発展させることができると非常におもしろいと思います。

(はっとり)

印=Emblem Project@芸術村あーと・ルーム

2008年08月06日 10:17

印=Emblem Project第2弾は7月27日(日)に芸術村あーと・ルームとして実施しました。こちらは小学生以上~一般までどなたでも参加可能なプログラムで、お子様連れのご家族から一般の方まで幅広い層の方々が総勢25名集まりました。今回私たちがエンブレムと定義したものは、日常に溢れているわけですが、普段そんなに意識するものではありません。家紋や会社のロゴマークなど注目してみてみると非常によくできているんですよね。また、世界中の面白いサインを集めた本なども結構あったりして、改めて見直すととても面白いものが発見できます。それらを参考にしながら、県立大の時と同じく、自分自身をあらわすロゴマークと、貼絵のcirclegraphの2つの異なったエンブレムをつくります。10時半スタートで午前中にロゴづくり、お昼休憩約1時間をはさんで午後にcirclegraphをつくって、みんなの作品を壁に展示して鑑賞をして、3時半までにすべて終了という流れです。

  
↑左;野老さんによるプレゼンテーション、右;野老さん作のエンブレムの紹介、オリジナル手ぬぐいにもなっています。

ギャラリーの一角での概要説明ののち、6つのワーキングテーブルに分かれて、ロゴづくりからスタート。参加者の約3分の1は小学生で、彼らはみんなどんどんつくっていきます。逆に大人の方のほうが色々考えてしまうようで、ちらちらと手が止まってしまう人を見かけました。そんな時には各テーブルをまわっている野老さんが制作の手掛かりとなるヒントを与えたり、会話の中からロゴにできそうな話を汲み取っていきます。またこのワークショップでは、参加者が制作したロゴとcriclegraphをスキャンしてコンピュータでデータを構成して、それぞれのオリジナル名刺カードを作成することになっています。25日の県立大学のワークショップに参加してくれた学生さんが3名ボランティアとして今回のワークショップもお手伝いしてくれており、彼らがスキャニングとデータ作成を担当してくれています。ロゴは鉛筆で下書きしたのちサインペンで清書をして完成です。一色構成なので、地と図の関係がとても重要です。ちょっと視点を変えた場合に、違った意味が見えてきたりすると面白いです。

午後はcirclegraphの作成です。みなさん午前のウォームアップの成果か作業に慣れたのか、迷うことなくどんどん出来上がっていきます。早い人は3つくらいつくっておられました。むしろ追い付かなかったのは、名刺カード作成のほうです。予想以上にスキャニングに時間がかかったり、データの整理がうまく出来なかったりで、結局当日お土産としてお配りすることはできず、後日郵送にて配布となりました。この印=Emblem Projectは、今回のために野老さんと芸術村スタッフがゼロから作り上げたオリジナルワークショップで初実施のため、このあたりは課題として残りました。ただコンピュータなどの機材のセットアップや名刺カードの作り方のフローチャートをしっかり制作すれば、時間内にうまく完成できるようになると思うので、そこをクリアすればデザインのワークショップとしてパッケージ化できるのではと思います。いい意味での次回へつなげるための課題が見えてきました。

  
↑制作の様子

ところで参加者のみなさんのcirclegraphはというと、大変内容も完成度もレベルが高く見た目にも美しく、野老さんも驚いておられました。大人のつくったものと子供がつくったものの差も全然分からないくらいどれも美しくて、小学生のお子さんがすごくコンセプチュアルなものを制作したりで、本当に感心させられました。観賞会は、野老さんが気になった作品をピックアップして、その制作者にタイトルと一言コメントをもらい対話をしながら、みんなで楽しむ和やかなものとなりました。面白い作品がいっぱい出てくると、アーティストもついつい会話が弾み、短いながらも充実した時間になったと思います。

  
↑左;県立大と芸術村のワークショップで参加者のみなさんが制作したcirclegraph、右;みんなで記念撮影

(はっとり)

印=Emblem Project@山口大学

2008年08月06日 10:17

最後の印=Emblem Projectは7月28日の山口大学です。美術教育を専攻している学生さんを対象に、レクチャーとミニワークショップという構成になっています。今回は時間が90分で人数も10人程度ということもあって、お話を中心にしながら、ロゴづくりとその発表鑑賞をするという流れです。

  
↑左;黒板を用いて熱心にレクチャーする野老さん、右;スライド上映しながらレクチャー

レクチャーでは野老さんに過去の作品の中から、建築のファサードや床面などのパターンのデザインやサイン計画などエンブレムの中でも建築と関わるものを中心に紹介していただきました。また野老さんは、普段adobe illustratorというグラフィックのソフトを用いて色々なデザインを考えておられ、そのアートボード利用法がとても個性的なので、そのあたりも方法論や発想法と交えながら紹介してもらいました。

野老さんはアートボード上でどんどんロゴやパターンをコピー・ペーストしつつ、少しずつ変化させながら新しいものをつくっていきます。「今日はアートボード上で右方向に展開していこう」とか、「明日は上方向に展開していこう」という感じで、1枚の巨大なキャンパス上に無限に生成していくので、アートボードを見るとその仕事の流れがよくわかり、非常に興味深いです。また四方八方に展開されるデザイン群は、最終的な完成品がその中のたったひとつというわけではなく、それらすべてが同じロゴやパターンのバリエーションとなり、その多様さが魅力でもあります。普通ロゴなどをつくっても一つつくったら終わりということが多いと思いますが、野老さんはそれを何年間もかけてずっと作り続けていきます。そういう継続力というか、やり続けることは重要なんだなと実感させられるアートボードなんですよね。

  
↑エンブレム制作の様子や下絵

そんなアートボードを紹介してもらった後に、実際に学生のみなさんにもロゴづくりに挑戦してもらいました。野老さんから多様な例の紹介があったおかげか、みんな様々なパターンのロゴを考案し、30分くらいで全員が一つずつそれぞれのロゴを完成させました。今回は人数も少なめだったので、車座で一人ずつ自分の作品を紹介してもらって、それを素材にみんなで話し合うかたちとなりました。ひとりひとりに野老さんや四方さんが丁寧なコメントを与えてくれて、中野先生を中心に学生さんからも意見が出たりして、非常によい雰囲気で進行できたと思います。学生さんも自分自身について見つめなおしたり、デザインに対する視点を広げる機会になったのではないかと思います。

  
↑それぞれの作品を発表!

野老さんは大学でレクチャーがある際は必ず学食で食事をされるということで、授業後は中野先生の案内で山口大学の学食でおいしくお昼をいただきました。


↑全ワークショップ終了後、ほっと一息の野老さん

野老さん、ハードな1週間でしたが本当にお疲れ様でした!!

(はっとり)


※活動レポートは当時秋吉台国際芸術村が運用していたブログ記事より転載しています。

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