秋吉台国際芸術村

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EVENTイベント情報

現代を楽しく活かすリズム感 - Rhythm! Rhythm! Rhythm!ワークショップ

秋吉台芸術アカデミー リズム・ワークショップ

秋吉台国際芸術村は、幅広い創作活動の場として、滞在型芸術活動の拠点として、また新しい芸術表現の探求の場として昨年8月にオープンいたしました。そこで私たちは、国内で活躍する若手芸術家や芸術家を目指す人々、広く芸術文化の担い手となる人々の育成を目的として短期の滞在型セミナー「秋吉台芸術アカデミー」を創設いたしました。今回は「現代を楽しく活かすリズム感」をテーマにリズム・ワークショップを開講します。
“多くの方々が「私はリズム感が悪いから・・・」というのが不思議です。これは意識の問題ではなかろうかと気づいたことがきっかけでした。日常の無意識な動作、所作にかくされたリズム感の本質に気づき、自然な動きを体感することによりエネルギーの方向を感知し、今までと違う自分を発見、創造することが出来ます。一度教え込まれ、そのままおぼえられるものは、感情や意志に働きを及ぼすことはありません。感情と意志とに働きかけることが出来るのは何度も何度も繰返して行われる行為なのです。
人間の心の音、つまり意識は人間が人間たる所以であり、行動の源なのです。”
          - ワークショップ講師 東京芸術大学教授 有賀 誠門

プログラムの概要

  1. 国内で活動する演奏家、これから演奏活動にたずさわろうと考えている方、リズム教育に関心のある方など、幅広く音楽に関心のある方を対象とします。
  2. このワークショップでは、単に特定の楽器の奏法を学ぶのではなく、リズムの発生の源である体の動き方から学んでいきます。
  3. 3月19日(金)にはワークショップの成果を一般に向けて公開します。

日時1999年3月16日(火)~3月20日(土)
募集人員応募申し込みの先着順にて20名程度
参加料学生(高・大生):21,000円(四泊分の宿泊費、四日分の夕食費、コンサート入場料含む)
一般:31,000円(四泊分の宿泊費、四日分の夕食費、コンサート入場料含む)
しめ切り1999年3月1日(月)
チラシチラシはこちらから(PDF)
  • 主催 秋吉台国際芸術村、(財)山口県文化振興財団

講師

有賀誠門

1937年長野県生まれ。幼少よりヴァイオリンとピアノを習う。東京芸術大学とニューイングランド音楽院にて打楽器を故今村征男、Vic Firthに師事、21歳でN響入団、18年間ソロティンパニストをつとめる。1960年東京パーカッションアンサンブルを創立し、我国の打楽器発展の先駆をなす。演劇、バレエ、ジャズとのコラボレーションも行う。国際コンクール審査員もつとめ、フライブルグ、北京音大でマスタークラスを担当。73年、77年、芸術祭優秀賞受賞。

講師アシスタント

明神有里

1997年東京芸術大学卒業、同年4月同大主催同声会に出演。10月、レインボー21、サントリーデビューコンサートに選ばれ、松枚牧亜作曲「Neptune」を本邦初演。現在同大学院2年在学中。甲府での大泉村コンサートを始め、岩手県大迫町小さな森のコンサート、桐朋学園大学短期大学部においての公開講座~現代を楽しく生きるリズム感~の中で、師匠である有賀氏と共演。また、大学内でティーチングアシスタントをつとめる。これまでに、有賀誠門、岡田真理子に師事。創造的音楽教育について研究中である。

加藤亜依

1995年名古屋音楽大学音楽学部器楽科専攻卒業。同大学定期演奏会に出演。又、年に何回かのバリ島研修を通してガムランを学ぶ。1998年東京芸術大学別科打楽器専攻修了。芸大新奏楽堂オープニングコンサートにて、師匠である有賀氏と共にクセナキスのペルセファッサに参加。現在芸大大学院に在籍中。これまでに、有賀誠門、和泉正憲、大江暢子、栗原幸江の各氏に師事。パフォーマンスアート、インプロヴィゼーション等、新たな表現の分野にも取り組んでいる。

萱谷亮一

1995年東京芸術大学音楽学部打楽器科入学。有賀誠門に師事し、打楽器全般を勉強すると同時にリズム教育研究所に参加し、ラテンパーカッションや世界のリズムについて勉強を始める。在学中に、芸大新奏楽堂オープニングコンサートにて師匠である有賀氏と共にクセナキスのペルセファッサに参加。また、モーニングコンサートに選ばれ、芸大オーケストラとの共演を2月に予定。ジャンルを問わないオールラウンドな打楽器奏者として活躍中。

レポート

“打楽器のワークショップに来て、こんなに運動させられるとは思いませんでした”
ワークショップがはじまって間もない頃、受講生の一人がこんな言葉を漏らしていた。実際、この時点までほとんど楽器にさわることなく、しかも打楽器の演奏につながるような動きもしていなかったのだから、こんなことも言いたくなるかもしれない。

日常的な所作、普段何気なく無意識に行っている動作を意識的にとらえ直すことからリズムの本質に目を向けよう、というのがこのワークショップの目的。だから、ちょっとした体操程度の運動はアリかな、とは思っていたけれど、飛び上がったり、会場にある段差を利用して上り下りの運動をしたり、みているこちらも驚くぐらい、結構ハードに動き回っていたのですから。でもワークショップが進むにつれ、とまどいも消えていきました。

ワークショップのはじめに、有賀さんは、上に書いたような問題意識を持つきっかけについて話してくれました。

アメリカに行って現地の演奏家の音と日本人の出す音が根本的に違っていたこと、その違いは楽器をたたくときに日本人は叩きおろす動きが強いのに対して、向こうは叩いた後上に持ち上げる動きが強調されていることに由来すること、そんな違いも元をただせば日常の動作(あいさつの仕方、座り方、もっと言えば狩猟生活と農耕生活)が違っている、具体的には日本人は下方向、西欧人は上方向に向かう動きが多いのだということ。

そんなことを実体験と様々なジャンルの人との出会いや書物から学んでいったのだそうです。そして有賀さんは、西洋音楽の演奏者として、この彼我の違いに自覚的になり、西欧的な動きを身につけることで自分の奏法を確立していったのでした。しかし日常的な動きというのは、体に染み込んでいる動きということです。それをはっきりと意識して、別の動きに変えてしまうというのは並大抵のことじゃありません。それでまずは、身に染み込んだ動きから体を解放してあげること、日常的な身体を破壊してしまう作業、が必要になってくるわけです。

打楽器の演奏とは一見無関係に見える運動は、そのために必要なステップだったんです。最初のうちは、半信半疑というか恐る恐るというか、ぎこちなく体を動かしていた受講生たちが多くいましたが、体が解放されるにつれて気持ちもついてきたようで、動きも声も大きくなってきていた。有賀さんのレクチャーも、上と下の方向性の違いからくる日本と西洋の美意識の違いにまで話が及んでいきました。例えば水を例に取れば、日本人は滝に美しさを認めるが、西洋では噴水になる。西洋では自然(重力)を超克することに美しさを感じるのに、日本人はより自然と調和することに美しさを感じるということですね。

ワークショップは最終日の発表会でクライマックスです。まずは有賀さんと3人のアシスタントとのアンサンブルの演奏で始まり、有賀さんのテンポのいい進行で6つのグループに分かれた受講生たちが演奏を披露。全員がのびのびと自分の表現をしていたのが印象的でした。最後は有賀さんのアンサンブルと友情出演・クラリネットの大谷さんの演奏で締めくくり。4日間のワークショップは幕を閉じました。

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