秋吉台国際芸術村

秋吉台国際芸術村

EVENTイベント情報

森の学校-芸術村エコ・スタディーズ01
コミュニティを勝手に作るための5W1Hその他

誰が(Who?)、どんなコミュニティーを(What?)、いつ(When?)、そしてどこで(Where)、なぜ、(Why)どのような方法で(How?)作り出そうとするのか、必要とするのか?

京都を拠点に活動するhanareと、世界の事例を紹介しながら、山口でもコミュニティを作る実験をやってみたいと思っている人たちと作戦会議をします。

出張hanare@秋吉台

今回「秋吉台でhanareをやりませんか?」というお誘いを受けて、「hanare をやるとは何か?」「私たちに何ができるだろう?」と考えました。たった1日で友だちができるわけもないし、全然知らない土地で、いきなり集まりをオーガナイズをすることも厚かましいし、不可能です。そこで、山口では最近、いろんな人たちが自分たちの場所/集り(コミュニティ)を作り出そうとする動きがあると聞いたので、そういうコミュニティを作るということはそもそもどういうことなのか、美味しいご飯を食べながら、この機会に一緒に考えてみたいと思いました。「山口では」と書きましたが、本当は日本中、世界中で場所/集まりを自分たちで作る人が増えていると思います。それはアートや音楽を中心にしたものかもしれないし、環境問題や教育、生活について考えるためのものかもしれませんが、とにかく言えることは、そういう試みが世界中で間違いなく増えているということです。秋吉台では、そんな世界中の取り組みの中に、日本に住む私たちが参考にし、盗用・流用・転用できる方法を探していきます。 ― hanare

インフォメーション

日時2010年6月27日(日)
12:00 - ランチ&参加者自己紹介
12:30 -14:00 世界の事例とhanareの事例
14:00 -15:00 コミュニティとは何か? ~イスラエルからのアドバイス~
15:00 -16:00 「hanare 的集まり」を作るための作戦会議
会場秋吉台国際芸術村・宿泊棟2Fサロン
料金交流会 500円(軽食つき)
☆山口の素材を使った軽食を出しますので、お昼ご飯を食べずにきてください。
申込方法参加を希望される方は、以下の情報を記載し、秋吉台国際芸術村までご連絡ください。
① 参加者氏名 ② 参加人数 ③ 連絡先 ④このイベントで話し合ってみたいこと
プログラム01:世界の事例とhanare の事例
(プレゼンテーション&ディスカッション)

hanare の活動を、世界中の参考になるかもしれない例と一緒に紹介します。個々に展開されている動きを大きな流れの中に掘り込むことで、背景にある政治・社会状況が見えてきます。そして、「コミュニティとはそもそも何か?」「なぜコミュニティを作っていこうとするのか?」「芸術活動がコミュニティの形成と再生の場に登場するようになっているのはなぜ?」「趣味の範囲を超えたコミュニティは可能か?」「コミュニティの社会的/政治的利害とどう向き合うのか?」「日本でコミュニティを作っていく作業は、小さな「政治」を取り戻すことを可能にするか?」というようなことを考えたいと思っています。

プログラム02:コミュニティとは何か?~ イスラエルからのアドバイス~
(プレゼンテーション&ディスカッション)

特別アドバイザーとして、イスラエルからサミー・アブ・シェハッデ(Sami Abou Shehadeh)とヤエール・バーオン(Yael Bar-On)が(インターネット上で)参加してくれます。サミーは、イスラエル国内のパレスチナ人が多く住む地域で、コミュニティオーガナイザーとして、イスラエル在住パレスチナ人の政治的・経済的権利を獲得するために活動している人です。ヤエールは、イスラエル国内の貧困家庭(その多くは新規移民)の若い人たちや女性と一緒に、パフォーミングアートを通して、彼・彼女達の直面している問題を改善させよう頑張っています。2 人はイスラエルの占領政策が日常生活の全てに影を落とす、政治から逃れられない場所で、それぞれのコミュニティと向き合っています。「脱政治化」が進みきった日本で考えるコミュニティと、政治から逃れることができない国でのコミュニティ、全く違う社会状況におけるコミュニティのあり方を考えることで、大事な視点が見えてくると思います。

プログラム03:hanare 的集まりを作るための作戦会議
(ディスカッション)

このイベント以降、hanare 的活動*を山口で受け継いでくれる人がいたら、その作戦会議もしたいと考えています。毎週1 回だけ自宅を開放し、人が集まれる場所を作るhanare の方法は、お金も労力もそんなに必要としません。このテキストを読んで、あくまでも自分たちの日常生活の中から、小さなコミュニティを作る実験をやってみたいと感じた人がいたら、ぜひ参加してください。今後の方法について一緒に話し合いましょう。
*hanareとまったく同じ活動をおこなうということではありません。もちろんhanareという名前をつかう必要もありません。

hanare

2006年にウィークリーカフェ「喫茶はなれ」の運営を開始。その他、ワークショップ・レクチャー、ビジュアルプロジェクト、レジデンス等の企画・運営を通し、生活に関わること全て(食、芸術、現代思想、身体、政治・経済、建築、他全部)について、実験的でワクワクする活動をおこなっている人たちと協働しながら、新しい考え方、表現方法を模索し、実践しています。あくまでも京都に生きる私たちの生活に深く根ざしながら、世界の地方都市ともダイレクトに繋がり、共に生きて行くこと、インディペンデントな場所として、「抗う力」を養うプロジェクトでありたいと思っています。
今後は21 世紀の「公民館(Culture & Social Center)」として活動の幅を広げていきます。
活動の詳細はhanareウェブサイトをご覧ください。

  • 主催 財団法人山口県文化振興財団秋吉台国際芸術村
  • 後援 山口県、山口県教育委員会、美祢市、美祢市教育委員会

森の学校-芸術村エコ・スタディーズ

「森の学校-芸術村エコ・スタディーズ」は、アートの技術を私たちの生きる世界に活かしていくための全4回のレクチャー、ワークショップ、ショーイングシリーズです。

いつもどこかで誰かが自分の経験できない世界を生きているのを知っていて、それらが日々さまざまなメディアから情報として入ってくる現代の生活のなかで、私たちはどのように、自分と自分の身の回りの生活社会そして世界との関係を想像してゆけるでしょうか?全4回のプログラムで、さまざまなジャンルのアーティストを講師として招き、アーティストたちが世界をながめる視点から多くのことを学んでゆきます。

第1回6月27日(日)
hanare「コミュニティを勝手につくるための5W1H」
第2回9月18日(土)-20日(月祝)*2泊3日
梶川泰司「テンセグリティ・ワークショップ」
第3回5月~11月下旬
江藤由紀子「秋吉台でダンス」
第4回11月25日(木)-28日(日)*3泊4日
伊藤俊治、石川直樹「アーキペラゴ/海と島と山を渡る -みる きく あるく フィールドワークショップ-」

活動レポート / Activity Report

森の学校−芸術村エコ・スタディーズ1
hanare 「コミュニティを勝手に作るための5W1H」

2010年07月12日[月]

京都を拠点に活動するhanare(はなれ)を招いた交流プログラム。hanareは、「21世紀の公民館」を目指し、自宅を開放したカフェでワークショップやプロジェクトを行い、衣食住や芸術、政治・経済など生活に関わること全てについて、新しい考え方、表現方法を模索し、実践しています。一方で、イスラエルをはじめとする世界の地方都市のコミュニティと自分たちの生活圏を直接繋げ、共に生きていくことを目指したプロジェクトも行ってきました。

さて、普段は出会うきっかけがない、異なるコミュニティに属する人同士の「出会い系パーティ」という趣旨もあった今回、予定を超える32名にご参加いただきました。そして「人が集まる場にはおいしい食事を」をモットーにしているhanareにとって、食は大事なコミュニケーション・ツールということで、今回も山口の野菜やパンを使った軽食を用意し、知らない人ともさりげない会話を始められるきっかけを作ってくれました。
この日のメニューは野菜のディップや茹でたて温野菜、手作りレモネードやジンジャーエールなど

参加者は、hanareのアートプロジェクトに興味を持っている人はもちろん、子育てサークルやカフェの運営を通じてすでに地域のコミュニティを作る実験を行ってきた人、都市部からの移住や就職など、新しい環境でコミュニティを作っていく方法を模索している人、自分が持っているスペースや技術を活かして何か活動を始めたい人など、年代や職業や状況もさまざま。
そして今回のように「いろんな人」の集まりや集まる場をつくり、実験的なプロジェクトを行ってきたhanareの活動と、皆さんの一人一人の生活や活動を取り巻く状況を紹介しあいながら、浮かび上がってくる個別の事情を取り上げていきました。ディスカッションはその一つ一つの事情に付いてまわる「政治」や「公共」について、異なる状況に置かれている皆さんからの視点や意見の交換になっていきましたが、この話し合いが、「いろんな人」がゆるやかにコミュニティを形成していく可能性に繋がっている気がしました。各々の状況がバラバラなだけに、粘り強さを必要とするディスカッションになりましたが、アートだけでなく社会のさまざまなコミュニティの人同士がいくつかのテーマを共有できた、貴重な機会だったと思います。

最後に、この日は激しい雷雨のために芸術村のネットサーバーがダウン。予定していたイスラエルのアーティストとのインターネット中継によるディスカッションが中止になりました。
hanareは今回のようないろんな人たちがゆるやかに繋がる」コミュニティと、大きなアイデンティティを抱えざるを得ない社会のさまざまなコミュニティとが共同していくことで、世界を変えるムーブメントを起こし得るのではないかと模索している人たちです。その可能性を参加者の皆さんと話し合いたかったのですが、今回は残念ながらできませんでした。
hanareのそのような試みはこれからも続いていますので、ぜひウェブサイトでチェックしてください。


※活動レポートは当時秋吉台国際芸術村が運用していたブログ記事より転載しています。